しいたげられた生活の中でも、熱く、力強く生きる沖縄人(ウチナンチュー)の物語。
真藤順丈の小説『宝島』は、アメリカ統治時代の沖縄を舞台にした壮大な群像劇であり、そして今、ついに 映画化 されます。
沖縄といえば「美しいビーチ」や「南国の情緒」、あるいは「太平洋戦争」を思い浮かべる方が多いと思います。観光や戦争に関する物語は数多く存在しますが、意外と少ないのが「アメリカ統治時代」を描いた作品です。
その空白を埋めるのが、今回映画の 原作 となった小説『宝島』です。
原作小説「宝島」真藤順丈著
物語の舞台は1952年から1972年。
沖縄がアメリカの統治下にあった27年間のうち、もっとも激しい時代を切り取っています。
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幼少期に沖縄戦を体験した少年少女が、戦後の混乱を経て成長する姿
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米軍基地に忍び込み物資を盗む「戦果アギヤー」
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捕まり収容所に入れられる過酷な生活
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その後、警察官になる者、反社の道に進む者…それぞれの生き方
友情、裏切り、希望、絶望――。そこにあるのは「戦後沖縄のリアル」であり、「自由を求めてもがく若者たちの物語」です。
映画化によせて
小説だけでも圧倒される熱量を持つ『宝島』。
その世界が映画として映像化されることで、沖縄の光と影、うちなーぐちの響き、そして若者たちの情熱がどのように描かれるのか。今から非常に楽しみです。
「原作を読むと映画がもっと深く理解できる」――これは多くの作品に共通しますが、『宝島』は特にそう感じます。
なぜなら、背景にある沖縄の歴史やアメリカ統治下の特殊な状況を知ることで、登場人物の行動や選択に込められた意味が何倍も響いてくるからです。
「宝島」感想

私は神奈川生まれですが、沖縄に1年間単身赴任した経験があります。
その生活の中で「戦争は過去の出来事ではなく、今も続く記憶」だと強く感じました。
そんな自分にとって『宝島』は単なる小説ではなく、沖縄で出会った人々の姿や言葉と重なり、胸を揺さぶられる体験となりました。
読み進めるうちに、コザや那覇、嘉手納のざわめきや湿った空気が伝わってきて、まるで自分がその時代の沖縄にいるかのような錯覚すら覚えます。
まとめ
映画『宝島』を観る前に、ぜひ 原作小説『宝島』 を読んでほしいと思います。
映画で描かれる迫力と熱気を、より深く理解し、味わうことができるはずです。
沖縄が好きな人、歴史に関心のある人、そして胸を熱くする物語を求めている人におすすめの一冊です。
そして映画館で映像を観るとき、きっと原作で味わった熱量と重なり合い、さらに強烈な体験になることでしょう。
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